牛丼屋のお仕事実践記 夜帯のお仕事1 初めての牛丼づくり(牛丼20杯目)
僕の職業経験談に牛丼屋勤務がありますので赤裸々に書き留めておきます。
就職の際の参考にしてください。
どんな企業に身を置くにしても、通じて言えることは喜怒哀楽が付き物ということですが、その比率は各個人の考え方に依存します。
このシリーズの内容はとある牛丼屋さんです。
有名過ぎるあまり、どの企業での勤務経験かが丸わかりな表現もあるかもですが、全てはこの目で見てきた事なのでご理解を。
なお、最低限のマナーとして、企業名や登場人物はボカシます。
と言うことで、どの牛丼屋さんを伝えているかを理解しても、大人な対応でスルーよろしくです。
(さすがに今現在は違うだろうしネ☆)
登場人物は太文字で書き表しています。
(記憶を辿ると、どうしても同僚たちの名前が必用なのです)
牛丼屋のお仕事実践記 夜帯のお仕事1 夜に副業を選んだ理由(牛丼20杯目)
僕が牛丼屋さんで働こうと思ったのは小遣い稼ぎが目的でした。
つまり、副業です。
昼は別の会社でペンキ作りに励んでいましたが、そこから得る小遣いがとても少なかったため、空き時間を活用したわけですね。
という事で、僕の場合は『夜帯』と呼ばれる21:00から『深夜帯』と呼ばれる01:00までの変則的な勤務時間でした。
この時間を選んだ理由は主に4つ。
- 本業の定時は17:00だが、ほとんど毎日残業があり、終業時間が極めて不安定だったから。
- まかない牛丼発生条件が『1日の勤務時間が4時間以上』だったから。
- 10時以降は時給25%増しだから。
- 絶対的に日中よりも夜の方(しかも夕食時以降)が楽だから。
そして僕個人としては、もはや給料よりも、この『まかないシステム』が本命だったりしたんですね☆
(食いしん坊です)
牛丼屋のお仕事実践記 夜帯のお仕事1 2日目の思い出(牛丼20杯目)
ということで、グランドオープン後日の初勤務は19:00から。
……………はて?
さっそく僕の勤務開始時刻が前倒しになっているワケだが???
(契約は20:00-00:00の4時間)
ちなみに僕の本業勤務地は牛丼屋さんから間違いなく60分くらい掛かる距離なわけだが、コレは本業持ちと知っての調整なのか?
それとも、他の誰かとの勘違いなのか?
本業の場面なら『しっかり見ろ!』の一言も言うところだが、…………言わない。
だって、新人だもん。
まだ2勤務目であーだこーだ言っちゃうと、ただでさえ年上というコトで異常に面倒がられても今後に支障が出るからね。
ってコトで、何も言わずに入店。
イキナリ遅刻ギリギリだけど。
で、インターホンをポチッとな。
もけ「………………?」
無反応……。
も一度、ポチッとな。
もけ「………………???」
(どきどきどき………)
やっぱり無反応💧
あれれ??
コレを5回くらい繰り返して、ようやく鍵が開けられる。
着替えている内にタイムオーバーだなこりゃ。
牛丼屋のお仕事実践記 夜帯のお仕事1 イキナリ厨房抜擢…(牛丼20杯目)
文面じゃこんな感じだけど、当時はこれでも焦ってたり。
『中で女子が着替え中かもしれないから(by 山m)』
……という更衣室入室時の注意をしみじみ受けてたけど、そんな記憶もぶっ飛んでアセアセとユニフォームに着替える。
そんで冷蔵室を通り抜けて、
もけ「お…、おはようございます…!(どきどき…)」
一同「………………!!!」
もけ「(はわわ……!?)」
これは女の世界に男が混ざった違和感の反応や、
僕という初めての人物に警戒しているとか、
単に無視を決め込んだ反応、
…ではない。
あからさまにスカスカの牛鍋。
シンクの山盛り食器。
拾う暇もなかったらしい、床にバラけた使用済み仕込み皿。
開け放たれた多くの引き出し。
溢れるゴミ箱。
踏み荒らされた食材。
………僕を招き入れる余裕もないくらいに地獄絵巻だったのだ………。
(すげえなこりゃ💧)
(↑ 新人の本音☆)
ピンチヒッター もけ。
もけ「えーと………みんなはじめまして…かな? まず…、何すりゃいいんでしょう?」
忙しいと言うよりは混乱状態の中で、誰にともなく尋ねてみる。
全員、見るからに大学生の女子とはいえ、きっと技術的には僕よりも上だと思うし…。
ちなみに、この時点で僕の経験は
食器洗い2時間分と、ネギ仕込み2時間分が全経験となる完全無欠の役立たずだ。
できれば注文すら受けずに食事を届け、食器を引き下げるだけの役回りが望ましい。(ボソボソ…)
すると………?
さと「あ~! 30歳くらいの昼間は別の所で働いている方ですかぁっ!?」
………ど、どーゆー伝わり方してるんだ?
もけ「たぶん……新人の中だと俺の事だけど、誰に聞いたの? …山mさん?」
さと「山mさんも言っていましたが、ひろさんが自慢してました! …てか、すいません! こっち来てください!」
もけ「じ、自慢………?」
(ひろって、研修の時に1回しか顔合わせていないあの男の人だよなぁ???)
(↑ ちなみに、僕の噂の80%は何故かひろが広め、残りの20%は何故か山mが広めていたり)
(↑↑ だから近隣店舗はどこ行っても、はじめから変に有名人というね💧)
んー、まあ、いい。
後に『さとちゃん』と呼ぶようになる見知らぬ彼女に呼ばれ、何も考えずにその場に行くと……?
さと「お願いしますっ!」
とかなんとか言って、牛丼盛り器を手渡され……?
もけ「ちょ、…俺、厨房なの??」
さと「出来るって聞いてますよ?『もけさんがが来たらすぐ代わっていい』って!」
……あのバカマネージャーにひろめ…、お前らに俺の何が判るというのか??
(どっちも僕の作業光景なんか見た事ないだろぉっ!)
牛丼屋のお仕事実践記 夜帯のお仕事1 記念すべき1発目オーダーは牛丼ではなかった! の巻。(牛丼20杯目)
さとちゃんの話を聞くと、目が合ったという理由で山mの退勤に合わせてさとちゃんとバック(厨房役)チェンジしたとか。
つまりは、今の僕とさとちゃんの関係は、…さとちゃんが実際に味わった数時間前の再現なわけだな。
てかさ…。
もけ「ごめん! 本っ当に申し訳ないけど、俺、注文の受け方から分かっていない初心者なんだけど…」
さと「大丈夫ですっ! あたしも3時間前までそうでした!」
おいおい、自信ありげに言うなよなぁ💧
(これがマンガだったら、絶対『><』みたいな目でガッツポーズ決めてるシーンだよな)
(↑ さとちゃんって、そんなメルヘン漫画から飛び出してきたような性格なヤツ)
てなわけで、厨房3時間先輩のさとちゃんレクチャー
もけ「んじゃさ! …せめて、何回か実際に作って手本見せてよ!」
さと「了解です!」
こんな感じで注文待ち。
幸いというか、そうじゃないのか、夜ピークはついさっき終わったらしく、実際に待つとなると結構な時間を要したり。
そんな合間に現在滞在する女子メンバーを紹介されるが、『女で学生』というコト以外、全然分からん💧
牛丼盛りレクチャー
で、しばらくすると、ようやく入客アリ。
ご注文は待望の牛丼だった。
さと「どんぶりをココに置いて、サイズに合わせてボタンを…(ぽち)。で、その間にこのお玉でお肉を取って待って、ごはんが入ったどんぶりをポンとして、お肉を上からぁああっ!? …大失敗しました…」
ごはんがよそられたドンブリにお肉を盛るが、ドンブリとお玉の位置関係が悪く、お肉の半分以上を肉鍋に落としてしまい、さとちゃんが慌てる。
内心でけっこう笑ったが、ナルホド、手順は判った!
さと「わかりました?」
もけ「おーけぇ!(やり直さないんかい) …火傷してない?」
さと「大丈夫です。…あっち(店内)に逃げます!」
研修中に牛丼の盛り方を確かに教わったが、やっぱ現物を使って実際の動きを見るのとそうでないのとでは雲泥の差があるわな。
さとちゃんのソレは問答無用の失敗だったが、彼女の動きを目で動きを見ればすぐに理解できるというものだ。
やっぱ口頭や文章による説明では半分も理解できん。
カモ役……
さと「じゃ、ココに立って調理お願いします!」
もけ「お…おう…! ……???」
さと「…あたし、店内で接客する仕事だと思って応募したのに…」
とかなんとか、肉鍋前に立って店内を見渡す僕の後ろ姿にひざまずくさとちゃん?
何してるの?
ケツ、くすぐったいんですけど…。
さと「これ、肉鍋の前に立つ人が持たないといけないんです! あ、動かないでください!」
とかなんとか、僕のケツというか腰というか、そんな部分に顔を近づけ、ベルトに何かを装着するさとちゃん。
話を聞くと、腰に着けられたソレは『金庫キー』と呼ぶらしく、文字通り金庫の鍵なワケだが、これはメインバックと呼ばれる肉鍋番が持つべきアイテムらしい。
仮に強盗が押し入って金庫が狙われても、相手からすれば複数従業員の誰が金庫の鍵を所持しているのかが分からず、加えて厨房側の人間は下半身が見え難いため、最悪の場合に時間稼ぎに繋がるという仕組みらしい。
更には、金庫キーの存在を知っている場合でも、厨房役が逃げれば金庫キーも一緒に逃げるというね。
早い話がネギ背負ったカモ役というワケですな。
利益重視の良い代表例であり、当時は『ブラック企業』という言葉が誕生する寸前だったが、そんなブラック企業に楽々ノミネートできる内容と言えますわな。
アルバイトにこんな事させるかねぇ。
てか、これが嫌で厨房に立ちたがらないという側面もあるらしく、さとちゃんはそんな1人というね。
15年前のローソンの方が、よっぽど従業員の安全面に対して画期的だったぞ?
記念すべき牛丼1杯目?
厨房を任せられてやや興奮気味の僕の目に来客者の姿が…!
もけ「おお……、客くるぞぉ!」
(本当は『〇名様、ご来店で~す』と言う決まり)
そして店内に入ってきた、どこぞのおじさん。
僕の記念すべき第一号だ!
牛丼は……並か? 大盛りか?? 特盛か???
さと「オーダー入りまーすっ!」
(↑ 厨房から離れたためか、生き生きしてる)
(↑↑ 肉鍋前ではゾンビ状態だった)
(↑↑↑ ちなみにさとちゃん以外はみんなゾンビ状態………)
プープープー(←受注音)
モニターに注文品が映し出され、思わず…
もけ「……………………ご…、『五目丼』???」
とか、我ながら絶望の声色w。
アタマ真っ白。
ココ、牛丼屋じゃなかったのかよ???
もけ「ちょ……っ、ごめん! さっきの人! フワフワの人!『五目丼』って出ちゃったんだけど、五目丼の素ってドコにあるの!?」
(↑ さとちゃんとはまだ自己紹介を交わしていない間柄。しかも失礼な呼び出し方w)
さと「あ…っ!『五目丼』ですか!? どこかの引き出しにあった筈です!!」
もけ「『どこか』って…(アセアセ💧)」
(ガッコンガッコン!)
(↑ 目に付く引き出しを開け閉めする音)
さと「ありました!?」
もけ「あったかも! ドロドロしてそうなヤツ!」
(ちなみにパウチ商材は全部見た目がドロドロしている)
さと「それです! なんか、『ちっちゃいたまご』が入っているやつです!」
(経験則でヒントはくれるが、決して厨房には来てくれないさとちゃん💧)
もけ「どーするの!?」
さと「レンジでチンしてください!」
もけ「どのレンジ?? 何番? 何番!? 何番押せばいいの??」
(レンジは3台あり、オープン直後というコトもあってかメニューシールが貼ってあったりなかったり。また、押す番号によって加熱時間が異なる。的確な番号を押さないと、めでたく不具合品が完成したり)
さと「3番とか4番だった気がします!」
もけ「『気がする』って…💧 てか、右から3番!? 左から3番!?」
こんな感じで、僕の記念すべき第1杯目は『牛丼』ではなく、『五目丼』でしたとさ。
ちなみに第2品目は『ソフトクリーム』というね💧
(これはコレで大混乱だった)
【改善案】この話題の客観的感想と改善提案
単刀直入に言って、
『これじゃ人手不足に悩むわけだな』
…と、ある意味で納得したり。
熟練者不在で素人100%構成の手放し営業。
人件費をケチる企業の実態ですが、コレってこの牛丼屋に限った話ではないんですよね。
改善案は…アレですね。
口頭のレクチャーのみで教育というは限界があるのではないかと。
食品ロスの問題は確かに重要ですが、当時は食品ロス問題がまだ浮上していなかった時代でもあります。
なんて言えば良いか、実食の中で牛丼としての適正な味の確認を含めた調理実習として、幾つかのメニューは実践投入前に1回でもすべきだと思いますね。
『実際に口に入るもの』と言う意味で全てのメニューに関しては、仮に調理法を間違えても重大な問題に繋がらない工夫がなされていますが、ソフトクリームなどの見た目で反応が変化するメニューに関しては、ロスがどうのこうのの前に練習させるべきかと……。
レトルトパウチの『五目丼』はともかく、ソフトクリーム(甘い食べ物)に関心を持たない人物に『ソフトクリームを上手に作って!』とか言われても、正直困るばかりですね。
人材不足の年中無休で嘆くなら、こうしたソフトクリームでアルバイト人材を釣るというのも、練習を兼ねての面白い試みだと思うのですが…。
(どうせ8割は捨てていたんだから)
いずれにしても、現物を使用する教育は重要だと思いますね。
- 新発売メニュー登場!→
- まかない対象外だから食べるなら金払え→
- いやいや、金払って食べれば無料まかないが食べれなくなる→
- 結局新メニューを試さない→
- お客:『コレってどんな味なの?』
- 回答:『食べた事が無いんで判りません(正直者)』
こんなやり取りも何回かあったり☆
また、金庫キーの取り扱いもある意味で問題ですね。
バイトに現金を完全に任せるという考えモンなんだかな…。
という気がします。
百歩譲ってお金の管理は任せなきゃならない場面もあるでしょうが、そのお金を獲得するための金庫キーはマネージャークラスに任せる事で、少しでも防犯リスクを緩和すべきですね。
牛丼屋のお仕事【実践記】 関連記事
牛丼屋勤務経験談のもくじに飛びます。
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本シリーズ『牛丼屋勤務のお仕事実践記』を含め、各職業で書き切れなかった部分の詳細や単語の意味を書き出しています。
わりと広範囲の職業の参考にもなりますので、気になる単語があった場合には確認してみてくださいね。
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僕はこのブログ内でいちサラリーマンとして色々と書いています。
あなたの職場の悩み解決、あなた自身が抱える悩み解決にも役立つかもしれませんので、時間がある時などにでも目を通してくださいな。
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