酪農家(畜産業)の仕事のナカミ【職業経験談】
僕がこれまでに手を掛けてきた職業のナカミを体験のままに書き出していますので、この職業に興味がある方は参考にしてください。
このページでは
『酪農業(畜産業)の仕事』という職業の仕事のナカミとなる、
- 簡単な前置き
- 主な労働時間と勤務形態・残業等
- 主な労働内容
- 正社員とアルバイト(非正規社員)の違い
- 仕事のキツさ
- 休暇関係
- 給料関係
- 人間関係
- 作業道具の支給
- 職場環境
- 同業他社との違い
- 専門性と転職する場合の活用法は?
- 安定or不安定?
- この職業の昔と今の違い
- この職業のメリット
についてを書き出していきます。
!!!!!!! この職業話の注意点 !!!!!!!
同じ職業でも企業や団体が変われば全く異なる内容になる場合がありますので、100%そのままを受け止めるのではなく、話70%程度の気持ちで確認してくださいね。
また、時代の変化に応じて一部で内容が変化している場合もありますので、予めご了承ください。
この話はあくまで僕の実体験に基づいた総合的な感想となります。
- 酪農家(畜産業)の仕事 簡単な前置き
- 酪農家(畜産業)の仕事 主な労働時間と勤務形態・残業等
- 酪農家(畜産業)の仕事 主な労働内容
- 酪農家(畜産業)の仕事 正社員とアルバイト(非正規社員)の違い
- 酪農家(畜産業)の仕事 仕事のキツさ
- 酪農家(畜産業)の仕事 休暇関係
- 酪農家(畜産業)の仕事 給料関係
- 酪農家(畜産業)の仕事 人間関係
- 酪農家(畜産業)の仕事 作業道具の支給
- 酪農家(畜産業)の仕事 職場環境
- 酪農家(畜産業)の仕事 同業他社との違い
- 酪農家(畜産業)の仕事 専門性と転職する場合の活用法は?
- 酪農家(畜産業)の仕事 安定or不安定?
- 酪農家(畜産業)の仕事 この職業の昔と今の違い
- 酪農家(畜産業)の仕事 この職業のメリット
- 酪農家(畜産業)の仕事 この職業の裏話
- 酪農家(畜産業)の仕事 まとめ
- 関連記事
- このブログの総合もくじへ
酪農家(畜産業)の仕事 簡単な前置き
僕は母方の実家が酪農家でしたので、特に乳牛の扱いを幼少期から自然と学ぶことが出来ました。
『仕事』といえば、正直言ってそんなレベルではありませんが、流れは知っているのでそこら辺を重点的に書いていきますね。
仕事内容の対象はあくまで牛となりますが、『飼育業』という意味では広い範囲で通用する部分も多いと思われるため、参考にしてみてください。
酪農家(畜産業)の仕事 主な労働時間と勤務形態・残業等
基本労働時間
家内労働型。
酪農家の基本労働時間は動物に合わせて変化します。
なので、実際の稼働時間はそれぞれの酪農家によって変化するでしょう。
ちなみに僕の場合は以下のような流れでした。
- 6時〜8時:搾乳&朝食&牛舎清掃
- 13時〜15時:少なめの昼食&飼料作り
- 17時〜19時:夕食&牛舎清掃
………と、何事も無ければ、1日の労働時間は概ね5〜6時間程度の作業時間です。
勤務形態
それぞれの酪農家ごとのルールがあるのでしょうが、多くは家族一丸だったり、男性が表立って業務に取り組んだり………。
と、昔の時代から伝わる流れに忠実といった感じですね。
残業・早出
仔牛の出産などで深夜に作業が入ることがあります。
また、冬の寒い時期、牛が弱らないために追加の飼料を与えることもあります。
他の追加業務と言えば、取引業者との商談がありますが、酪農家の場合は業者が
『定期的に訪れるお友達』
みたいな感があり、雑談程度のやり取りが多いですね。
酪農家(畜産業)の仕事 主な労働内容
飼育
乳牛(家畜)を飼育します。
堆肥集め
牛が排出する糞尿を集めます。
メイン商品の回収
乳牛を取り扱う場合は当然ながら、生乳がメイン商材となりますので、これらを搾乳して鮮度を保つタンクに貯蔵し、取引業者に販売します。
家畜の健康管理
生き物である牛の健康を管理します。
売却
酪農家の売却物は主に以下の通り。
- 生乳(あらゆる乳製品になります)
- 雄牛(ある程度育てます)
- 廃牛(年をとった雌牛を入れ替えます)
- 堆肥(主に農家が使う肥料になります)
飼料購入
牛を育てるための飼料を購入します。
納税・金銭管理
『酪農家』という時点で自営業と変わりませんので、あらゆる金銭管理を行います。
酪農家(畜産業)の仕事 正社員とアルバイト(非正規社員)の違い
酪農家が一家揃って作業をする
一家で酪農家という事業を営むため、決まった作業配分はありません。
……と、言いたいところですが、そこは古き良き和風文化ということで、多くの場合は
『牛舎は男性担当、生活空間は女性担当』
というのがセオリーですね。
とはいえ、各酪農家ごとに決まりはあるでしょう。
非正規社員は能力に応じた仕事を任せられる
今でこそ農協組合員に仕事を任せられる時代に入りましたが、基本は酪農家一家で業務を全うするか、そうでなければ隣近所に応援を求めます。
とはいえ、仲良し近所であっても全ての作業ができるわけではないので、予め準備していた飼料配りが関の山でしょう。
組合従業員に応援を呼ぶ場合はプロが訪れますが、報酬は組合に収めるその日の時価なので、雇った分だけ日当が目減りする事になります。
酪農家(畜産業)の仕事 仕事のキツさ
重量物の取り扱いが多い
昔ながらの搾乳を行う場合は、何よりも満タンの牛乳缶の移動が一番大変です。
飼料も一頭一頭の量で考えるとさほどでもありませんが、人間のお弁当と同じく全頭分を一括して準備するため、それなりの体力が必要となります。
排泄物の取り扱いが嫌だ
『排泄物』という表現で嫌悪感が出るらしいですが、仕事そのものは苦じゃありません。
イメージの問題ですね。
牛(人間を含めた多くの動物)の糞尿は農作物の肥料として適しており、多くの野菜には家畜の糞尿が肥料として使われています。
あとこれは極秘ですけど、実は我々人間も糞尿を生産してしまうのですねw
(糞尿処理を嫌がる理由がよく分かりません)
あと、糞尿処理のイメージは最悪でしょうが、人間の方がよっぽどクサイというね…。
動物と意思疎通出来ないとツライ
牛にも感情があるため、心を通わせる努力が必要です。
優しく接すれば牛も穏やかな対応をしてくれますし、厳しく接すれば牛も反抗します。
はっきり言って怒った牛は、たとえ繋がれた状態でも人間が勝てる相手ではありません。
『別れ』がツラい
酪農家の一番つらいところですね。
牛と付き合いが続けば『仕事』ではなく『家族』みたいな感情を持つ事もしばしば。
特に自分の力でこの世に引っ張り出し、仔牛から飼育した牛との別れほど辛いものは無いでしょう。
牛の命で人間側の暮らしが成り立つわけですが、だからといって牛の命にばかり気が向いてしまうと、人間側も牛側も全滅してしまうという、思いやって育てるという意味では取り払うことが出来ない矛盾が感じられる職種でもあります。
酪農家(畜産業)の仕事 休暇関係
年中無休が当たり前
生き物を取り扱う職業柄、基本的には休暇という言葉から存在しません。
休暇を必要とする場合は、家族や家畜業を知る周囲との連携が必要不可欠です。
考えを変えれば年中有給
作業的な事は一貫していますので、手早く業務を終わらせることが出来れば、あとは何をしてても自由となります。
純粋な意味で『仕事が生活』と言える業種でもあります。
酪農家(畜産業)の仕事 給料関係
正社員:市場や原価で大きく変化
昨今では人気失ってしまった動物園の動物たちの未来問題が目立ちますが、酪農業にも同じ事が言えますね。
特に日本の場合は増税や値上げばかりが先行し、上がってしまった原価への対策が可能な限り対策されない傾向があります。
個人で営むケースが圧倒的に多い農家酪や農家が直面する大問題でもあり、そういった意味では酪農一本で生計を立てるのは、相当数の頭数が揃っていない限り、価格高騰に直面した際に、個人レベルではその打破がなかなかに難しいと思います。
組合員:正社員と同じ収益(給料は固定)
応援依頼に応じる組合員が得る収入は、組合員としての一般正社員並の給料と思われます。
ちなみに組合員が酪農家の業務を請け負った際の取り分は、その時点(日)での時価に合わせた生乳販売費用ですので、酪農家視点では1日分の100%の収益を失うことになります。
非正規:酪農家の気分次第
酪農家は単純に言って自営業に近いものがありますが、『組織』と言えば………そうでもないので、明確な支給に関する線引きがされていない場合がほとんどです。
なので、仮に『勤務報酬』という意味で言えばどんぶり勘定が多く、当時の幼い僕の手取りで言えば、
1日1000〜10000円と、異常なまでのバラつきがありましたね。
(まあ、給料というよりは小遣いに近いものがありましたが)
(そもそも足手まといw)
酪農家(畜産業)の仕事 人間関係
酪農家によって大きく変化
酪農家業は良くも悪くも自宅敷地やその周辺の往復で生計が成り立つため、世界に視野を向けずとも人生を全うできる職業でもあるのですね。
よって、完全に孤立状態でも問題はありませんし、近所に目配せすれば『協力関係』という意味で活動範囲を広めることも出来ます。
酪農家(畜産業)の仕事 作業道具の支給
使用備品や消耗品は基本的に現場にある
酪農家で勤務する場合、基本的には職場に一通りの器具が揃っています。
…というか、扱う器具の多くが専門分野のものなので、無ければ仕事になりませんね。
仮に必要となるものを挙げるとすれば、手袋などの個人用消耗品等です。
組織化された企業とは異なりますので、雇い主が全ての装備品を準備してくれる期待は持たない方がいいでしょう。
酪農家(畜産業)の仕事 職場環境
安全性
畜産業にも安全配慮は必要ですが、多くの場合は畜産業を実際に営む側の考える安全性となります。
機械設備に対する安全意識は一般社会で活用される内容と変わりありませんが、大型動物に対する安心意識は『不用意に近付かない・必要以上に接近しない』です。
言い換えれば、
『自分がそのエリアに入り込むという認識を相手に知らせてから入る』
『受け入れ状態の相手には触れても良いが、興奮状態の相手とは距離を置く』
といった感じです。
汚れる事は当たり前
一般的な社会人視線からすれば畜産業の現場は汚れ作業の印象を持ちますが、動物が生きる環境と考えれば、むしろその状況こそがクリーンです。
酪農家(畜産業)の仕事 同業他社との違い
それぞれの酪農家によりきり
何度も繰り返しますが、酪農業の多くは会社のような組織とは異なりますので、酪農家によって作業の流れは特に時間配分(開始時間)が大きく異なります。
酪農家(畜産業)の仕事 専門性と転職する場合の活用法は?
同じ業種なら活用可能
それぞれの動物にはその種に合った生活リズムがありますので、経験を活かした転職は可能でしょう。
というか、現代では酪農家や農家が減少傾向にあるため、この種の業務に参入するとなれば場合によっては重宝されるでしょう。
酪農家(畜産業)の仕事 安定or不安定?
種や景気によって大きく変化
どんな世界に生きるにしても景気によって収益が大きく左右されますが、従来で言えば畜産業は高い水準で安定した職業と言えるでしょう。
ただし、牛の呼吸は二酸化炭素を大量に含み地球温暖化に拍車をかけているとか、養鶏所で言えば鳥インフルエンザの感染発覚などにより一挙処分など、科学の発展の裏側でそれまでに無かった予算の消費が発生します。
酪農家(畜産業)の仕事 この職業の昔と今の違い
機械化
昔はほとんど全てを手作業で行った酪農業ですが、今現在は機械化が進んだ事で格段に肉体的疲労度が減っています。
ただし古い時代の流れを取り込む酪農家は昔ながら。
という事も考えられます。
組合の協力
酪農業を嫌がる子孫の最もな言い訳は『休みが取れないから』でしたが、今では組合の協力を要請すれば休暇の取得も可能です。
酪農家が減った
色々な意味で酪農家が減少傾向にありますが、新規参入が少ない理由の最大のポイントが『専門性が高すぎる』という意味かも知れません。
例えば『牛を購入する』という発想が出てきませんからね。
言い換えれば、専門性が高いからこそ新規参入する分には楽かもしれませんが、牛舎や設備購入などで予想外の予算が必要になるかも知れません。
酪農家(畜産業)の仕事 この職業のメリット
動物好きなら天職
酪農家のメリットといえば、何よりも動物と接する職業というところかもしれません。
人間とは異なる動物と接っし、自由に捻出できる自分の時間で毎日を自由に過ごす。
非常にのんびりした職業である事は違いありません。
ちなみに僕の親族の家主の酪農家は以下のような毎日でした。
- 起床、牛の世話
(終わったら酒飲み) - 世話が終わったら昼まで自由
(主に酒飲み) - 昼、軽く牛の世話
(終わったら酒飲み) - 夕方、牛の夕食から明日の昼までの飼料を準備
(終わったら酒飲み) - 夜、牛の世話
(終わったら酒飲み)
こんな感じです(笑)
ちなみに、いちいちお酒を口にする家主でしたが、常時コップ一杯の焼酎でしたね。
『一仕事終わった』みたいな合図の姿とも言えたかもです。
(ベロベロに寄った姿は見た事が無い)
酪農家(畜産業)の仕事 この職業の裏話
実際に酪農業を知る裏話を少々……。
動物が変に増える
酪農家=動物好き……という話ではありませんが、酪農家をよく知らない他人からすると『動物好き』と認識される事が多いようですね。
ということで、飼育に困った誰かのペットが流れてくる場合も…。
また、牛の餌の1つに藁がありますが、藁は飼料の他に暖を取るための寝床としても使われます。
ここに野良猫や鳥類といった他の動物が住み着く事も珍しくありませんでしたね。
こんな事が繰り返された結果、僕の記憶ではこの酪農家には以下の動物たちが集いました。
- ウシ
(酪農家の主力、最大で48頭) - イヌ
(唯一のペット、最大で3頭。野良犬が飼い犬化する) - ヤギ
(別の酪農家が育てて手に負えなくなったという。牛舎に仲間入りしてた) - ニワトリ
(勝手に住み着く。ヒヨコだらけ、卵だらけ。お祭りで買ったヒヨコが成長した際も持ち込んだり。ちなみに人間に育てられたニワトリは鳴く時間も鳴き方も一般ニワトリとは違う) - チャボ
(いっぱいいたっぽいけど、見分けがつかん) - ネコ
(牛舎に積み上げられる『藁の穴』に手を突っ込むと結構な頻度で出現。勝手に来て勝手に去る。主に子猫の出産場所に活用) - クジャク
(どこかの民家の迷い孔雀? 鶏小屋の1つを占領した後、そこがお気に召したらしい) - ウグイスとかメジロとか迷いインコとか
(鳥類は書くのが面倒なくらいたくさん。小さな鳥小屋っぽい箱を設置すると、季節によって色々とくる) - ウサギ
(住み着いたような、そうでないような…?)
こんな感じで動物だらけでしたね。
ちなみにエサはペットの犬にしか与えず、ヤギは牛と同じ飼料を与えてました。
鳥類にもエサはあげていましたが、エサよりも地面をつつく姿をよく見ましたね。
おそらく飼料からこぼれ落ちた穀物を食べていたのでしょう。
仔牛がカワイイ
生まれたばかりの牛を見る機会はほとんど一般社会ではありませんが、その瞬間を見る事が出来るのも酪農業の魅力の1つでしょう。
生まれて間もない仔牛がワナワナと立ち上がり、すぐに懐いてくれるのがなんとも…。
歯の無い口に手を近付けると『手』どころか腕ごと飲み込もうとします。
基本的に『牛肉』を食べない生活
考えずとも何となく理解してもらえそうな話ではありますが、牛飼いは基本的に『牛肉』を調理せず、僕の母方の実家の場合はニワトリも庭や牛舎に住み着いていたため、『鶏肉』の調理もしませんでした。
牛肉や鶏肉を食べる際は、必ず外食を選んでいたようですね。
ただ、風邪をひいてしまった仔牛が回復せずに絶命した場合は、供養の意味も込め、専門業者に引き取ってもらう流れで一部のお肉を分けて頂く事もありました。
仔牛の肉は信じられないくらいに柔らかく、美味しいんですね。
ちなみにこの場合の『供養』とは、
『短命過ぎた仔牛の寿命を忘れないように』
だそうです。
そう考えると、確かに僕は自分で可愛がった仔牛の存在と、その身を頂いた事を鮮明に覚えてますね。
その仔牛の魂が僕の体に宿っているというか…。
(そりゃ、可愛がった仔牛が他界した事や、『美味しい』と表現した食卓の肉がその仔牛と知らされた時は、ショックを通り過ぎた『微妙』でしたがね)
これと同じく鶏の場合もよく『鳥刺し化』していました。
酪農家(畜産業)の仕事 まとめ
という事で、このページでは牛が主体となりましたが『酪農業』という職種の紹介でした。
畜産業の全ては命を扱う業種である以上、長期休暇なんてものは存在しませんが、ある言い方をすれば想像通りののんびりとした人生を送れる職業でもあります。
昔は自らの仕事を他人に任せるなんて事はご法度でしたが、今は時代が変わって払う物さえ払えば代替も利く時代ですので、自然の中でなるべく過ごしたい人にとっては魅力的な職業と言えるかもですね。
関連記事
僕が経験し、実際に見てきたそれぞれの職場の内容をまとめています。
このブログの総合もくじへ
僕はこのブログ内でいちサラリーマンとして色々と書いています。
あなたの職場の悩み解決、あなた自身が抱える悩み解決にも役立つかもしれませんので、時間がある時などにでも目を通してくださいな。
コメント